2025 年 2 月 22 日(土) に、 千葉工大・津田沼キャンパス で、高校生を対象とした科学講座「量子コンピュータで切り拓く未来の化学」を開催します。
講座の概要
- 日程: 2025 年 2 月 22 日(土) 13:00 〜 17:00
- 会場: 千葉工業大学・津田沼キャンパス コンピュータ演習室(JR 津田沼駅から徒歩5分)
- 対象: 高校1〜3年生
- 定員:36 名
- 費用: 無料
- 講師: 山本 典史 (千葉工業大学 / 応用化学科 / 教授)
- 協力:千葉県理数教育拠点校(事務局:千葉県立船橋高等学校)
- 支援:科学技術振興機構 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)
このイベントについて、不明なこと・尋ねてみたいこと・ご要望などがありましたら、山本までお気軽にお問い合わせください。
申込方法
千葉県内の理数校・SSH 指定校の生徒の皆さんへ
千葉県内の理数科を設置する県立校 & SSH 指定校には、理数教育拠点校の事務局(県立船橋高等学校)から、このイベントの案内をしていただく予定です。イベントへの申し込みは、各校にて、ご担当の先生方に取りまとめをお願いしています。
該当する高校に在籍している生徒の皆さんは、各学校で理数科目を担当されている先生方を通じて申し込みをおこなってください。申し込みの締め切りや必要な手続きについては、学校の先生方からご案内があります。
千葉県内の理数教育拠点校(8校)
- 千葉県立 船橋 高等学校
- 千葉県立 柏 高等学校
- 千葉県立 木更津 高等学校
- 千葉県立 佐倉 高等学校
- 千葉県立 佐原 高等学校
- 千葉県立 匝瑳 高等学校
- 千葉県立 長生 高等学校
- 千葉県立 成東 高等学校
千葉県内のSSH指定校(4校)
- 千葉市立 千葉 高等学校
- 市川学園 市川中学校・高等学校
- 銚子市立 銚子 高等学校
- 芝浦工業大学 柏 中学高等学校
その他の高校の生徒の皆さんへ
本イベントは千葉県理数教育拠点校の事業として実施するため、まずは拠点校からの参加者を優先させていただきます。その後、定員に余裕がある場合に限り、千葉県内外の高校生の皆さんからの参加を若干名受け付けます。参加をご希望の方は、山本までお気軽にお問い合わせください。
参加可能となった場合には、個別にご連絡させていただきます。
申し込みにあたっての注意事項
- 定員は36名です。千葉県理数教育拠点校・SSH指定校からの参加者を優先させていただきます。
- イベント当日は、量子コンピュータを実際に使用するため、利用時の誓約書への同意が必要となります。
- 引率の先生方も、イベントの様子を見学いただけます。見学を希望される場合は、その旨を申し込み時にお知らせください。
- 参加費は無料です。
講座の詳細
背景
近年、量子コンピュータの実用化に向けた研究開発が世界中で加速しています。従来のコンピュータでは困難とされてきた複雑な計算を、量子力学の原理を活用することで効率的に解くことができる量子コンピュータは、特に化学や材料科学の分野で革新的な進展をもたらすと期待されています。
分子シミュレーションは、コンピュータを用いて分子の振る舞いを予測・解析する技術として、創薬や新材料開発などの分野で重要な役割を果たしています。しかし、分子の量子力学的な性質を正確に計算するには莫大な計算資源が必要となり、従来のコンピュータでは限界があります。
量子コンピュータは、この課題を解決する可能性を秘めています。量子力学的な現象をそのまま計算に活用できる量子コンピュータは、分子の電子状態や化学反応の解析を、高速かつ正確におこなえる可能性があります。これにより、新薬の開発や環境負荷の少ない新材料の創出など、社会的にも重要な課題の解決が加速されると考えられています。
目的
この講座は、次世代を担う高校生の皆さんに、量子コンピュータと化学の融合がもたらす可能性について、体験的に学んでいただくことを目的としています。
- 最先端の量子コンピュータ技術に触れ、その基本概念と応用可能性について理解を深める
- 分子シミュレーションの実習を通じて、コンピュータ化学の基礎と実践的な活用方法を学ぶ
- 第一線で活躍する研究者や高校生研究者との対話を通じて、量子コンピュータが切り拓く未来像を考える
- 科学技術分野でのキャリア形成について、実践者との対話を通じて考える機会を提供する
この講座を通じて、参加者の皆さんが量子コンピュータと化学の未来に興味を持ち、将来の研究や技術開発に携わるきっかけとなることを期待しています。
内容
第1部:分子シミュレーション入門
第1部では、分子シミュレーションの基礎から実践までを、体験的に学んでいきます。コンピュータを使って分子の性質を予測・解析する「分子シミュレーション」は、新しい物質の開発や化学反応の理解に欠かせない技術となっています。本セッションでは、まず分子シミュレーションの基本的な考え方について学び、その後、ウェブブラウザ上で動作する分子シミュレーションツール「Moleculatio」を使用した実習をおこないます。
実習では、化学反応の前後でのエネルギー変化(反応エンタルピー)や、物質の色の予測(電子状態計算)など、具体的な計算例を通じて、分子シミュレーションの可能性と応用について理解を深めていきます。普段の化学の授業で学ぶ概念が、最新のコンピュータ技術によってどのように探究できるのか、実践的に体験していただきます。
第2部:量子コンピュータ入門
第2部では、量子コンピュータの基礎から最先端の応用まで、専門家の指導のもとで学んでいきます。量子力学の基本概念から始まり、量子コンピュータの仕組みや特徴について、わかりやすく解説します。また、量子回路やエンタングルメント(量子もつれ)といった、量子コンピュータならではの現象についても学びます。さらに、量子テレポーテーションなど、量子力学の不思議な性質を活用した技術についても触れていきます。
本セッションの特徴は、大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)の国産超伝導量子コンピュータ(実機)を使用した演習です。実際の量子コンピュータを遠隔操作することで、量子計算の実践的な体験が可能です。理論と実践の両面から、次世代のコンピューティング技術について理解を深めることができます。
第3部:高校生による量子コンピュータ研究発表
第3部では、広尾学園高等学校・2年生の大月優佳さんによる研究発表をおこないます。量子コンピュータをテーマとした課題研究について、高校生ならではの視点で発表していただきます。最先端の科学技術に挑戦する同世代の取り組みを知ることで、参加者の皆さんが研究活動への興味を深めるきっかけとなることを期待しています。
発表後には、参加者との質疑応答や討論の時間を設け、量子コンピュータ研究の魅力や課題について、共に考えを深めていきます。高校生が実際に取り組んでいる研究活動を通じて、科学技術の最前線に触れる機会となるでしょう。
第4部:座談会〜量子コンピュータが切り拓く未来〜
第4部では、量子コンピュータが切り拓く未来像について、第一線で活躍する研究者や専門家を交えた座談会を開催します。高校生研究者の大月さんをはじめ、大学や企業の研究者が、それぞれの視点から量子コンピュータの可能性や将来展望について語ります。
座談会では特に、科学技術分野でのキャリア形成に焦点を当て、研究者たちの経験や思いを共有します。進路選択や研究活動における転機、現在の仕事のやりがいなど、実践者だからこそ語れる貴重な話を通じて、参加者の皆さんが自身の将来について考えを深める機会となることを期待しています。
イベント当日のスケジュール
会場は千葉工業大学・津田沼キャンパス・コンピュータ演習室
実施者の自己紹介、スケジュールの説明、などなど
大月 優佳 さん(広尾学園高等学校)
集合写真撮影、などなど
注意事項
- 新型コロナウイルス感染症などに関連して、このプログラムを延期・中止する場合があります。
- 量子コンピュータ(実機)を用いた実習については、当日の稼働状況などにより、シミュレータを用いた実習のみとする場合があります。