振動解析再入門

山本が千葉工大に赴任する前なのですが、2011年8月22日から26日まで、京都府立ゼミナールハウスで開催された第51回・分子科学若手の会・夏の学校の第3分科会で「振動解析再入門:振動計算の基礎とスペクトル解釈への応用」というタイトルで、講師を務めました。

講義では、振動解析の基本事項を中心に解説。さらに、水素結合系の振動スペクトルについて、簡単なモデルを用いた解析も紹介。振動解析に興味がある方の参考けになればと思い、夏の学校で使った講義ノートを公開してみます。

Gaussian などを用いた量子化学計算は、実験を専門とする研究室においても、測定結果の解釈を支援する ツールとして幅広く利用されています。特に基準振動解析は、赤外・ラマンスペクトルを読み解く際に、振動バンドの帰属をサポートする手段として活用されています。しかし、実験結果と計算結果を比較してみると、両者が著しく異なってしまう場合も少なからずあります。基準振動解析は、分子運動を調和振動的に振る舞うものと仮定して扱いますが、実際の分子振動は、調和近似から逸脱した非調和的な振る舞いを示すためです。

本分科会では、まずはじめに、基本的な振動解析の方法について、ざっくりと説明します(第 1 章・第 2 章)。 次に、幾つかの非調和振動のモデルを導入して、調和振動子を基底系に用いる簡単な手計算を経験しながら、振動準位のシフトやフェルミ共鳴分裂など、非調和性に起因する現象が現れる背景を調べてみます(第 3 章)。

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この記事を書いた人

千葉工業大学 応用化学科 教授。専門はコンピュータ化学、コンピュータを使って分子を解析しています。化学の学びを身近にすることにも興味を持っています。

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