5/21(火)山本が古代🦖ホタルの発光色を理論的に解析した結果を学会で発表します

恐竜🦖時代にもホタルがいて、現代のホタルたちと同じように、体の一部を光らせることができたそうです。皆さんは、恐竜時代のホタル(古代ホタル)が何色に光っていたのか、想像できますか?

最近話題になっている人工知能(AI)は、この質問にどう答えるのでしょう。ChatGPT (DALL-E) 🤖 という AI にたずねてみました。

ChatGPT 🤖 で生成

AI が描いてくれたこのイラストでは、「古代ホタル」はゲンジボタル(現代のホタル)と同じように、「黄色」に光るように描かれていますね。実は、ここで描かれている古代ホタルの発光色は間違っているんです。

「古代のホタル」は、ゲンジボタルなどに代表される「現代のホタル」とは異なり、「緑色」に光っていたということが、中部大学の大場裕一先生たちの研究で明らかになっています(論文)。

私たちヤマラボでは、大場先生たちの論文を読んで「古代ホタルが緑色に光っていたメカニズム」に興味を持ち、分子レベルでその仕組みを明らかにしたいと思って、最近、コンピュータ化学を用いた解析にチャレンジしています。

5/15(水)に筑波大学で開催される理論化学討論会では、この研究テーマについて山本が、「量子化学計算で解き明かす古代ホタルの発光色」というタイトルで口頭発表する予定です。この発表の要旨は、下記のような感じ。

生物発光は、深海環境から陸上生態系に至るまで多様な生物種において観察される現象であり、捕食者に対するカモフラージュ・獲物への擬態や誘引・種内コミュニケーション・性選択などの生物学的機能を担う。

生物発光の化学的基盤をなす発光酵素(luciferase)と発光物質(luciferin)は、基礎医学や生物工学分野における診断・イメージング・センサー技術への応用が進むことで、その実用的価値に注目が集まる。

近年、推論的解析に基づきゲンジボタル Nipponoluciola cruciata 祖先種のルシフェラーゼが復元され、白亜紀に生息した古代ホタルの発光波長は現生種よりも短波長であることが示された。

発光色の進化的変遷は、発光生物の適応戦略を理解するための鍵であり、多彩な発光色・適切な発光強度を持つ人工生物発光システムの合理的設計においても重要な手がかりとなっている。

本研究では、量子化学計算を用いて、古代ホタルが現生種とは異なる発光色を示す分子機序について、理論的な解析に取り組んでいる。

理論化学討論会の発表要旨(講演番号 1L07)から

発表当日、古代ホタルの発光色をはじめ、生物発光の不思議を解き明かす楽しさについて、参加者とディスカッションできること、楽しみにしています。

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この記事を書いた人

千葉工業大学 応用化学科 教授。専門はコンピュータ化学、コンピュータを使って分子を解析しています。化学の学びを身近にすることにも興味を持っています。

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