千葉工業大学 / 応用化学科 / 山本研究室
計算化学で生命・物質・環境・教育の問題解決
投稿:22-04-22 / 更新:22-06-10

応用化学科3年生へ:2022年度研究室配属のご案内

はじめに

このページでは、千葉工業大学・応用化学科の(主に)3年生の皆さんに、3年生後期におこなわれる研究室配属の助けとなるように、ヤマラボ(山本研)の研究・教育活動の大まかな様子をご紹介します。このページを見て、ヤマラボで学び・成長することに興味・関心を持っていただけるようでしたら、ぜひ実際にヤマラボの見学にいらしてください。

ヤマラボの紹介動画

まずは、2年前(2020年度)に制作ヤマラボの紹介動画をご覧ください。動画に登場する4年生のうち、尾島さん福嶋くんは大学院に進学し、研究内容を学会で発表するなど、大活躍されています。

ヤマラボのメンバー

2022年度の研究室メンバーは、修士14名4年生が15名です。現在のところ、4年生の多く(15名中12名)は大学院への進学を志望しています。

ヤマラボの研究内容

ヤマラボでは、いくつかのチームに分かれて研究に取り組んでいます。それぞれのチームが学び合う共同体として機能することで、良好な関係性を築きながら柔軟な問題解決をおこなうためのコミュニケーション技術協働のためのコミュニケーション技術)を身に付けることができます。さらに、チームのメンバーとの対話的な問題解決のプロセスを通して、多様な情報を活用して異なる視点から考える・学び合うことで、思考力・判断力・表現力・交渉力を伸ばすことができます。

各チームは、毎週1時間程度、山本と一緒にミーティングをおこないながら、関連する論文を一緒に読んだり、解析結果を一緒に読み解いたり、ソフトウェアの使い方やプログラミングを一緒に学んだり、アイデアを共有&議論したりするすることで、専門領域を学ぶときの学び方と協働のためのコミュニケーション技術を身につけていきます。

2022年度は、「生物物理」「化学工学」「光化学」「化学情報」の4つの研究分野でチームを編成しています(今のところ、化学情報は生物物理と合同で研究に取り組んでいます)。チームをどのように編成するのかについては、山本がメンバーの要望をヒアリングしながら、研究室全体のバランスも考慮して決めています。

研究内容については、チームで各分野の最新の研究動向を調査してから、「どのようなニーズがこの研究分野にあるのか」「研究室のリソースをどのように活用して問題解決できるのか」などの情報を整理・分析することに基づいて、チームのメンバーで話し合いながら設定します。

生物物理チーム / 化学情報チーム

インフルエンザエイズの治療では、病気の原因となるウイルスの増殖を抑える薬が使われています。このような薬のおかげで病気の進行を抑えたり、症状を軽くすることができます。しかし、ウイルスたちも賢くて、薬のはたらきを弱めることができるように変化したウイルスが登場することがあります。このような薬の効かないウイルスのことを薬剤耐性ウイルスと呼んでいます。ヤマラボでは、分子動力学シミュレーション機械学習(人工知能)という方法を使って、インフルエンザ・ウイルスやエイズ・ウイルスが薬剤耐性になるメカニズムを調べています。この研究は、北海道大学・人獣共通感染症リサーチセンターの研究者と共同でおこなっています。

また、分子動力学シミュレーション量子化学計算を組み合わせた方法を使って、核酸塩基を生合成する酵素の化学進化を分子レベルで詳しく調べることで、生命の化学的な起源を突き止めようとする研究にも取り組んでいます。この研究は、千葉工大・生命科学科の先生たちと一緒におこなっています。

生命現象に関心があるひと、医療医薬品に興味があるひと、進化のナゾを解きたいひと、などにお勧めの研究分野だと思います。

化学工学チーム

2015年の国連サミットで、持続可能な開発目標(SDGs)という、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標が提案されました。このSDGsのなかに、気候変動に具体的な対策をという目標があります。この目標を達成するために注目されているのがゼオライト金属有機構造体(MOF)などの多孔質材料を用いて二酸化炭素を分離・吸着する技術です。MOFとは、金属と有機化合物が架橋したネットワーク構造を持つ材料であり、ガス分子の分離・吸着、センサーや触媒活性において、ゼオライトなどよりま優れた特性を持っています。ヤマラボでは、分子動力学シミュレーションを用いて、MOFなどの多孔質材料で二酸化炭素を分離・吸着する技術の基礎を調べています。

資源・エネルギー・環境問題に関心があるひと、機能性材料やテクノロジーの研究開発に興味があるひと、化学工学を分子レベルで極めたいひと、などにお勧めの研究分野だと思います。

光化学チーム

近年、単体では発光効率がとても低いけれど、分子が多数凝集すると発光効率が顕著に上昇するという興味深い特性を持つ蛍光色素が注目されています。この「凝集すると発光する」という現象は、凝集誘起発光と呼ばれていて、様々な応用が期待されています。たとえば、凝集誘起発光色素をフィルム基盤や薄膜中に固定化したものは、高い発光収率をもつ有機EL素子・優れた光エネルギー変換効率をもつ色素増感型有機太陽電池の実用化など、有機エレクトロニクス技術の未踏分野を開拓できる有機発光材料・高次光機能性材料として期待されています。さらに、医療分野においても、タンパク質などを凝集誘起発光色素で標識することで、凝集過程や環境応答を蛍光顕微鏡などで容易に観察することも可能になります。たとえば、凝集誘起発光を応用してタンパク質の凝集体を除去する技術を開発できれば、アルツハイマー病やパーキンソン病など、タンパク質の異常凝集が原因となる病気の治療法の確立にも貢献することができます。ヤマラボでは、量子化学計算を用いて、凝集誘起発光のメカニズムを解明する研究に取り組んでいます。

また、ホタルなどが光る仕組みを医療などに応用する生物発光についても、理論的な解析に取り組んでいます。たとえば、ホタルなどが持っている発光物質を改良することで、生体内深部のガン細胞などを検出することができる新しい技術などが研究開発されています。

光化学に関心があるひと、機能性材料やエレクトロニクス技術の研究開発に興味があるひと、量子化学の最先端を極めたいひと、などにお勧めの研究分野だと思います。

ヤマラボの研究方法

ヤマラボでは、分子の化学的な性質をコンピュータを使って調べる計算化学の様々な方法を用いています。いくつかの代表的な方法を簡単に紹介してみます。

量子化学計算

量子化学計算は、コンピュータを用いてシュレディンガー方程式を数値的に解くことで、原子や分子の電子状態を理論的に解析する方法です。量子化学1・2という授業で紹介したり、応用化学実験1・3で実際に使ってもらったことがありますよね。ヤマラボでは、次のような量子化学計算のプログラムを使って研究に取り組んでいます。

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分子動力学シミュレーション

分子動力学シミュレーションは、ニュートンの運動方程式を数値的に解くことで、原子や分子の物理的な動きをコンピュータの中で再現する方法です。原子や分子が活躍するミクロな世界のダイナミックなふるまいを「見える化」することができます。ヤマラボでは、次のような分子動力学シミュレーションのプログラムを使って研究に取り組んでいます。

機械学習(人工知能)

機械学習は、近年大きな注目を集めているデータ解析の技術です。私たち人間が経験を通して学習するように、コンピューターが大量のデータに潜むパターンを発見することで、未知のデータを分類・予測することができるようになります。化学の分野では、機械学習を用いて新しい機能性材料を開発するマテリアルズ・インフォマティクスという方法がとっても盛んになっています。機械学習では、Pythonという言語を用いて自分たちでプログラミングすることがほとんどです。

ヤマラボでは、プログラミング技術の習得もおこなっているのですが、プログラミングを学ばなくても機械学習が実践できる環境も準備しています。

ヤマラボの学習環境

ヤマラボでは、研究のなかで得られる結果そのものよりも、その結果に辿り着くまでのプロセス、そして、そのプロセスを通して皆さんが身に付ける・気が付く・成長できるさまざまなことを大事にしたいと思っています。特に、研究での関わりを通して、メンバーのひとりひとりの個性・価値観を認め合いながら、共に取り組むチームメイトのリソース(得意なこと・強み・関心)も上手に活用しながら柔軟に問題解決する技術(協働のためのコミュニケーション技術)を磨いていただけたらと思っています。具体的には、以下のようなことを身につけることができるかなと思っています。

論理的に思考するスキル

ヤマラボでは、論理的に・創造的に考えることを手助けしてくれる便利な道具「思考ツール」を活用しています。具体的には、教育のためのTOCなどの「思考ツール」を用いることで、頭の中にあるたくさんの情報や考えたことを見える化したり、自分の考えを上手に整理するスキルを身につけることができます。

自己理解を深めるスキル

ヤマラボでは、ワークグラム価値観カード などの「自己分析ツール」を用いることで、自分の「関心の軸」「なりたい姿」を明確にするスキルを身につけることができます。自己理解だけではなく、他者理解も深めることで、研究室内そしてチーム内において相互に関心を生かし合い、ひとりひとりの価値観を大切に尊重できる状態で学習・研究に取り組む環境を作っています。

上手に質問するスキル

ヤマラボでは、QFT (Question Formulation Technique) などの「問いづくりのツール」を用いることで、互いの問いに耳を傾け、解釈と探究を深めながら学び合う・話し合うスキルを身につけることができます。また、問いづくりのトレーニング(ハテナソン)では、発散思考、収束思考、メタ認知などのさまざまな「考える力」を大きく向上させることもできるのかなと思っています。

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分かりやすく伝えるスキル

ヤマラボでは、伝わるデザイン などを学ぶことで、ゼミや学会などでプレゼンテーションをするとき・レポートや論文などを書くときに必要となる情報を正確に・スムーズに他者に伝えるスキルを身につけることができます。また、ペアプレゼンという方法で、1対1のペアで攻守入れ替えながらローテーションで短い時間のプレゼンをぐるぐる回していくことで、プレゼンスキルと質問スキルの両方を洗練できればと思っています。

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ヤマラボが大切にしていること

ヤマラボでは、研究室のメンバーが協力して「安全安心な場」「成長できる場」を作っていくことを大切にしたいと思っています。このような姿勢・考え方を共有・理解していただける方と一緒に、学び・成長できたらと思っています。

安全安心な場

ヤマラボでは、お互いに関心のある考えや感情について素直に話し合いができる分からないことがあればお互いに積極的に尋ねることができる失敗についても「学習するための良い機会」であると捉えることができる気兼ねなく意見を出し合い・創造的に対立することができる、という「安全安心な場」をつくっていくことを大事にしています。また、自分らしさを発揮できる相手らしさも尊重できることも大切だと思っています。

成長できる場

ヤマラボでは、自分の「なりたい姿」の達成に向かって一生懸命に努力を続けることができる仲間を手助けするため・社会をより良くするためにも一生懸命になることができる、という「成長できる場」をつくっていくことを大事にしています。また、自分の成長にワクワクできること、研究室としての成長にもワクワクできることも大切だと思っています。ヤマラボで学び・成長した皆さんが、将来、周囲から感謝される・必要とされることに喜びを感じて、仕事に取り組むことが好きになり、充実した人生を実現できるようになることを精一杯サポートしていきます。

ヤマラボの見学

ヤマラボは「津田沼キャンパス・1号舘・6階」にあります。このウェッブサイトでヤマラボの大まかな紹介を見て、ヤマラボで学び・成長することに興味・関心を持っていただけるようでしたら、研究室をぜひ訪問・見学していただけたらと思っています。

研究室に来ていただく日程として、たとえば、3年生の多くが受講する「応用化学実験3(毎週水曜日)が終わった後」はいかがでしょうか?実験が長引いたり、レポートの講評などもあると思いますので、時間については緩やかに考えていた方がよいように思いますが、私の方では、18:30 から 19:30 くらいまでの時間でお話を伺ったり、研究室の学生(主に大学院生)たちと話をしていただけたりする準備ができるかと思います。

また、「応化実験3の後は都合がつかない」という場合には、別の日程でも、ある程度は調整可能ですので、遠慮なくお知らせください。ご相談しながら、日程を調整することができるかと思います。

見学を希望される方は、「希望の日程」、「見学する方の人数」そして、「見学に来ていただく皆さんのお名前」を山本宛にメールで教えていただいていると嬉しいです。山本のメールアドレスは下記になります。

norifumi.yamamoto [at] p.chibakoudai.jp

皆さんとお話できること、楽しみにしています。

Q&A

研究室訪問のときなどに質問していただいた内容をまとめておきます。これから研究室を訪問される前に目を通していただいていると、参考になるかなと思います。

Q1. 大学院進学はどれくらい?

今年の修士1年生は8名です。今年度の4年生は、今のところ、半数以上(15名中12名)が大学院への進学を希望しています。キャリアデザインの授業でもお話していますが、理系であることの強みやスキルを生かしたりできる就職を希望されるときには、大学院への進学をお勧めしたいと思っています。

Q2. パソコンが苦手なのですが

問題ありません。これまでのヤマラボの学生たちは、パソコンが得意だという人はほとんどいませんでした。しかし毎年、何名かはまあまあ得意な人たちがメンバーにいて、その人たちが助けてくれたり、お互いに教えあったりして、研究に取り組みながら、だんだんと慣れている・成長しているように思います。

Q3. コアタイムはありますか?

山本から「コアタイムを作ること」を提案することは今のところありません。ヤマラボでは、研究室のメンバーが協力して「安全安心な場」「成長できる場」を作っていくことを大切にしています。コアタイムがその助けになるのであれば、研究室のメンバーで話し合って、ルールを作ることを考えても良いと思っています。大学院生たちは、今年度、自主的にコアタイムを作っているようです。

Q4. 第1回選抜で重視することは?

大学院進学を希望される方を優先します。大学院へ進学される方とは、3.5年間という比較的長い間を、研究室の教員が伴走させていただくことになります。この比較的長い期間が実り豊かな時期となるように、皆さんの「夢」や「なりたい姿」をサポートできるベストな研究室で学んでいただければと思っています。

もちろん、大学院進学を希望されない方も大歓迎しています。多くの方にヤマラボを志望していただいた場合には、ヤマラボが大切にしている『安全安心な場・成長できる場を作っていく』姿勢に共感していただける方、チームメンバーの個性・価値観を認め合いながら柔軟に問題解決する協働のためのコミュニケーション技術を磨くことに関心がある方を優先したいと思っています。

Q5. 4つの研究分野を教員と面談をして決めるということですが、具体的にはいつ頃、チーム分けは行われるのでしょうか?

研究チームのチーム分けは、皆さんが研究室配属したあと、まずは各研究チームの内容をひととおり知ってもらい、10〜11月頃に決めてみたいと思っています。

4年生で卒業される場合、また、大学院の5月試験を受験される場合でも、「3年生のうちにチームで研究活動に取り組んだ経験」をすることで、「研究活動を通して身に付けた問題解決のスキル」「チームワークのなかで学んだ協働力」などを就活&受験の面接時に自信をもってアピールできるのではと思っています。

Q6. 学部と大学院でチームを変更することは可能なのでしょうか?

学部と大学院でチームを変更することは可能です。今年度は3年生のうちにチーム分けをすることを考えているので、3年生から4年生になるタイミングで変更することも可能だと思っています。

ヤマラボでは、定期的に、「皆さんの興味・関心がそのチームの中で満たされているのか」「皆さんの強みがそのチームと合っているのか」などのことを、山本がメンバーと1対1でヒアリングしながら(ワークグラムという自己分析ツールを使ったりします)、『安全安心な場・成長できる場を作っていく』ことに心がけていきたいと思っています。

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